ベライゾン 2023年1-3月期決算について
ベライゾン(ティッカーシンボル;VZ)はアメリカの大手通信会社です。
本社はアメリカニューヨークのLower Manhattanにあります。
ちなみにニューヨーク証券取引所はLower Manhattanに存在しています。そのためベライゾン本社はアメリカの金融の中心地、ニューヨークのダウンタウンに位置しているのです。
ベライゾンは1998年7月に設立された比較的若い企業です。
かつてのアメリカは1877年、グラハムベルが設立したベル電話会社がアメリカの電話事業を独占していました。
インターネットがなかった頃、電話線は重要なインフラであり、そういったものはどこの国も国営企業もしくは巨大企業が独占していたのです。
ベル電話会社はのちにAT&T(American Telephone & Telegraph Company)となります。
その後AT&Tの独占的な形態をアメリカ合衆国司法省に目をつけられ、1984年1月1日に7つの電話会社に分割されてしまいます。
そのうちの一つであるゲルアトランティック社が2000年6月に独立系電話会社であったGTE(General Telephone and Electronics)と合併して、ベライゾン・コミュニケーションズが誕生したのです。
ベライゾン社の業務は以下のように分けられます
1)インターネット・音声:通信事業
2)グローバルネットワーク・セキュリティ・クラウド事業
そして現在のアメリカの通信事業はベライゾンとAT&T、Tモバイルの三つ巴のシェア争いを繰り広げています。
それぞれの企業の比較をしてみましょう。
まずは時価総額からです。
この3社の中ではTモバイルが一番時価総額が大きく、ベライゾンは2番目ですね。
ちなみに日本のNTTの時価総額をドル換算にしてみると(為替は1ドル=135円で計算)、1096億ドルでした。為替で変動するかもしれませんが、この3社はNTTよりも大きいのですね。
つぎに3社のここ最近の株価をみてみます。
上昇傾向なのはTモバイルだけで、ベライゾン、AT&Tは下降傾向ですね。
例えばS&P500指数の2023年1月1日から5月12日までの騰落率は8.5%なのにベライゾン株はー4.59%です。同社の株はS&P500にアンダーパフォームしています。
さらにPER(株価収益率)は7.32です。一般的にPER15程度が適正であるとされるためにベライゾン株は割安であることがわかります。
また株価下落に伴って配当利回りも上昇、2023年5月12日時点での利回りは6.95%にまで上昇しています。S&P500銘柄の中では、なんと1位のアルトリア(タバコメーカー)について2位にまで浮上しています。
配当利回りが高いということは配当金がたくさんもらえるということです。そのことだけみるといいことのようにみえますが、株価が下落することで相対的に配当利回りが高くなっているため、手放しで喜べるものではありません。
同社の2023年1-3月期の決算は4月25日に発表されました。
EPS(1株当たりの利益)は1.2ドルで予想1.19ドルを上回りましたが、売上は329億ドルで、予想売上の336.1億ドルを下回ってしまいました。インパクトに欠ける決算内容であり、その日の株価は微増で終了しています。
それでは財務をみていきましょう
2023年1-3月期の貸借対照表をグラフ化したものです。
総資産が負債を上回っていますね。
さらに通期での貸借対照表をみていきます。
総資産、総負債ともに漸増しています。総資本は漸増しているため、悪くはないと思います。
続いて損益計算書です。
(百万ドル) | 2023年3月31日 |
総収入 | 32912 |
売上総利益 | 19408 |
営業利益 | 7597 |
当期純利益 | 4909 |
ちなみに営業利益率は23.95%、純利益率は15.85%であり、稼ぐ力はそれなりにある企業です。
通期での損益計算書は、
何か総収入、営業利益、当期純利益ともに横ばいですね。
営業CFが右肩上がりではないですね。2021年度は投資CFが大幅に増加していますね。
現在の株価やPERをみると、ベライゾンは市場から「かなり評価されて」いないみたいです。しかし悪いデータでもないので、それほど悲観する必要はないのかな、と私個人は思います。
むしろ通信は情報化社会において重要なインフラであるため、株式投資において今後もベライゾンは安定した収益を生み出してくれるように思います。