キンダーモルガン(KMI)。アメリカ株の高配当銘柄
皆様、キンダーモルガン(ティッカー;KMI)という銘柄を知っているでしょうか?
同社はアメリカ、テキサス州ヒューストンに本社があるエネルギー会社です。
主に石油や天然ガスの貯蔵やパイプラインによる輸送を行っている会社です。
エネルギー会社には石油や天然ガスの採掘を行うことを上流事業、それらを輸送することを中流事業、加工や販売することを下流事業といいますが、同社は主に中流事業を担っています。
対してエクソンモービルやシェブロンなどのかつてのメジャーは上流から下流までを一括に扱っています。
キンダーモルガンの時価総額は約370億ドル、世界時価総額ランキングでは第353位です。規模的にはみずほ銀行のすぐ下くらいです。
同社は高配当株として有名です。現在の配当金は一株当たり1.13ドル/年が配当です。
配当利回りは6.8361%であり、アメリカ株では第95位、AT&Tと並ぶくらいの高配当です。
同社の株価チャートをみてみましょう。チャートの下はRSI(相対力指数)です。簡単にいうと株価の勢いをみる指数です。
同社の株価は2020年3月のコロナショックを契機に大きく下落、それ以降1株16~18ドルのボックス相場の中で行き来しています。
現在のRSIは30のちょっと上あたりです。30前後は売られすぎ、70以上は買われすぎと言われているので、現在は売られすぎの状態ですね。
同社株の配当性向はどうでしょうか?同社の公式サイトによると、2018年から2022年まで一貫して79%とのことです。アメリカの企業の配当性向の平均値は30~40%なので、同社の配当性向は高いですね。
決算、財務状況をみていきましょう。
今回の決算
2023年4月19日に決算が行われました。
EPS(1株当たりの利益)は0.3ドルであり、予想の0.29ドルを上回りました。
しかし売上は予想46.7億ドルに対して結果38.98ドルと下回りました。
そのため翌日の4月20日、同社の株価は1.42%下落しています。
損益計算書
通期での損益計算書です
2020年はコロナによるパンデミックで全ての収入、特に当期純利益が減少していますが。その後は増加していますね。
四半期ごとの損益計算書はどうでしょうか?
総収入が経過とともに減少しています。しかし当期純利益は漸増しているために良し、と考えてよいのではないでしょうか。
貸借対照表
次に貸借対照表です。こちらも通期でみます
こちらは安定していますね。
2023年1-3月期の貸借対照表の詳細をみてみましょう。少しビジーな図です。
2023 | |
流動資産合計 | 2696 |
現金および短期投資 | 424 |
現金 | - |
現金および現金同等物 | 416 |
短期投資 | - |
純売掛金合計 | 1321 |
売掛金 | 1321 |
在庫合計 | 589 |
前払費用 | - |
その他の流動資産、合計 | 362 |
総資産 | 68931 |
固定資産合計 - ネット | 35639 |
固定資産合計 - グロス | - |
減価償却累計額 | - |
純暖簾 | 19965 |
純無形資産 | 1743 |
長期投資 | 7664 |
受取手形 - 長期 | - |
その他の長期資産、合計 | 26 |
その他の資産、合計 | 836 |
流動負債合計 | 4775 |
買掛金 | 1087 |
買掛/未払い | - |
未払費用 | 351 |
支払手形/短期負債 | 2000 |
1年以内返済長期借入金/キャピタル·リース | 298 |
その他の流動負債、合計 | 1039 |
総負債 | 36817 |
長期負債合計 | 29506 |
長期負債 | 29506 |
キャピタル·リース債務 | - |
繰延税額 | 831 |
少数株主持分 | 1357 |
その他の負債、合計 | -1652 |
総資本 | 32114 |
償還優先株式、合計 | - |
優先株式-非償還、合計 | - |
普通株式、合計 | 22 |
資本剰余金 | 41575 |
留保利益(累積赤字) | -10499 |
金庫株-普通株式 | - |
ESOP 債務保証 | - |
未実現損益 | - |
そのほかの資本、合計 | 1016 |
負債および株主資本合計 | 68931 |
のれん代が199億ドルとは多いですね。
利益剰余金(内部留保)がマイナスであることが気になります。
キャッシュフロー計算書
最後にキャッシュフロー計算書を示します。こちらも通期です。
投資CFが一貫してマイナスです。設備投資が続けられていることがわかります。財務CFも一貫してマイナスです。
2023年1-3月期の決算書の財務CFをみてみます。
財務CF(百万ドル) | -1181 |
キャッシュ・フロー項目を融資する | -55 |
配当金支払い合計 | -627 |
株式の発行(退職) | -113 |
債券の発行(退職) | -386 |
財務キャッシュフローの53%に株主への配当金支払い、32.6%に社債への返済に使われていることがわかります。
ちなみにキンダーモルガン社のROE(自己資本利益率)は8.23%です。アメリカ企業のROEの平均は11.9%であるために、同社の稼ぐ力は平均よりも低いことになります。
キンダーモルガン社はアメリカ企業のなかで地味な存在かもしれません。
稼ぐ力もすごく高いというわけはない。
しかし財務は比較的安定しています。また扱う事業も石油や天然ガスなど必要不可欠なものです。
そして何よりも高利回りの配当金は魅力的です。
そのために持っていても損はない株だと思われます。