マリオット・インターナショナル、ホテル業界ナンバー1企業

マリオット・インターナショナルは、アメリカのメリーランド州ベセスダにある世界的なホテルチェーンです。「マリオット」のみならず、「リッツカールトン」や「シェラトン」「モクシー」などマリオット以外の様々なブランド名で事業展開していることが特徴です。

 

本社のあるメリーランド州ベセスダは、ワシントンD.C.の北西にある街です。20キロくらい離れています。ちょうどいい距離の郊外ですね。



wikipediaの画像を引用

マリオットは様々なブランド名で事業展開をしています。

そしてそのブランドをマリオット独自の基準で分類しています。

サービスのレベルに応じて「ラグジュアリー」「プレミアム」「セレクト」「長期滞在型」「コレクション」に分類、さらに「クラシック」と「ディスティンクティブ」(特色のある)という分類があり、それらを掛け合わせて様々なブランドホテルを展開しているのです

 

現在マリオットインターナショナルに加盟しているホテルは、全世界で7800もあり、部屋数も142万室で世界最大のホテルチェーンです。

私の住んでいる大阪市でも、あべのハルカスに入っている大阪都マリオットホテルをはじめとして、リッツカールトン大阪、シェラトン都ホテル大阪、セントレジスホテル、ウエスティンホテル大阪、ホテルモクシー、W大阪、アロフト大阪堂島など沢山あります。

 

マリオットインターナショナルの経営として特徴的なのはフランチャイズ形式ということです。

ホテル自体は不動産オーナーや投資家が所有し、マリオット・インターナショナルはブランドやホテル経営のノウハウ、予約システムなどを提供します。

つまり「持たない経営」を行っています。

 

次にマリオット・インターナショナル株の株価をみていきましょう

 

株価


上段はチャート、下段はRSIです。

同社の株価は2020年3月に大きく下落しました。

新型コロナウィルス感染によるパンデミックで世界中が渡航禁止、またロックダウン(都市封鎖)で旅行需要が消失しました。

そのことでマリオット・インターナショナルは大打撃を受け、株価は150ドルから50ドル前後と1/3にまで下落しました。

しかしその後は株価は上昇し、2021年に入ってから株価はコロナ前にまで回復しましています。2022年はFRB政策金利を上げたためにぱっとしない状態でしたが、2023年に入ってからは20%近く株価が上昇しています。

配当金においてはコロナショックのために2020年3月に配当金の支払いを停止しましたが、2021年5月に配当金の支払いを再開しています。現在の配当金は1株当たり2.08ドルであり、配当利回りは1.17%です。

 

同社は2023年5月2日に決算が発表されました。

EPS(1株当たりの利益)は2.09ドルであり、予想1.85ドルを上回りました。

また売上も56.2億ドルであり、予想54.5億ドルを上回りました。

まず損益計算書をみてみましょう

損益計算書

まず四半期ごとの損益計算書をみていきます

Invest comのデータを元に作成

今回の決算で総収入が急激に増えていますね。

それでは通期での決算はどうなっているのでしょうか?

Invest comのデータを元に作成

目を引くのは2020年12月31日の決算です。営業利益が激減し、当期純利益はマイナスとなっています。新型コロナウィルスのパンデミックの影響の大きさがわかります。2021年からは営業利益、当期純利益はプラスになっていますが、総収入は2020年よりも低くなっています。2021年、2022年も行動制限にてヒトの移動が制限されていたことがわかります。

 

次に貸借対照表をみていきましょう。まずは四半期からです。

貸借対照表

Invest comのデータを元に作成

2023年1-3月期の総資産の詳細が発表されていないため、総資産の部分は空白のままです。総資産額はそれほど変化なしですが、総負債額が増えてきていますね。

続いて通期のものをみていきます。

Invest comのデータを元に作成

 

2021年度の総資産がぐっと増えていますね。

それでは2022年度の貸借対照表の詳細をみていきましょう

  2022
流動資産合計 3313
現金および短期投資 507
現金 -
現金および現金同等物 507
短期投資 -
売掛金合計 2571
売掛金 2571
在庫合計 -
前払費用 235
その他の流動資産、合計 -
総資産 24815
固定資産合計 - ネット 2572
固定資産合計 - グロス 3446
減価償却累計額 -874
純暖簾 8872
純無形資産  5812
長期投資 -
受取手形 - 長期 -
その他の長期資産、合計 584
その他の資産、合計 756
流動負債合計 7339
買掛金 746
買掛/未払い -
未払費用 2457
支払手形/短期負債 -
1年以内返済長期借入金/キャピタル·リース 790
その他の流動負債、合計 3346
総負債 24247
長期負債合計 9380
長期負債 9249
キャピタル·リース債務 131
繰延税額 -
少数株主持分 -
その他の負債、合計 7215
総資本 568
償還優先株式、合計 -
優先株式-非償還、合計 -
普通株式、合計 5
資本剰余金 5965
留保利益(累積赤字) 12342
金庫株-普通株式 -17015
ESOP 債務保証 -
未実現損益 -
そのほかの資本、合計 -729
負債および株主資本合計 24815
流通普通株式発行数 -

 

マリオットは「持たない経営」をしていることから、暖簾代、純無形資産が多いですね。あと利益剰余金があることも安心材料ですね。

 

最後にキャッシュフロー計算書をみていきます。こちらは通期のみです。

キャッシュフロー計算書

Invest comのデータを元に作成

2020年度は投資CFはマイナスで金額も小さいです。突然のホテル需要の消失で守りの姿勢に入ったことがわかります。興味深いのは営業CFは2020年よりも2021年のほうが少ないのですね。

あと気になるのは財務CFが常にマイナスであることです。

2022年のキャッシュフロー計算書の詳細をみていきましょう。

  2022
純利益/スタートライン 2358
営業CF 2363
減価償却/減耗償却 85
減価償却 197
繰延税 -
現金支出の伴わない費用 265
現金収入 -
営業支出 -
税支払額 476
利息支払い額 345
運転資本の変動 -
投資CF -297
設備投資 -332
その他の投資キャッシュ・フロー項目、合計 35
財務CF -2962
キャッシュ・フロー項目を融資する 17
配当金支払い合計 -321
株式の発行(退職) -2655
債券の発行(退職) -3
外国為替の影響 -
現金の純増減額 -896
期首現預金残高 1403
期末現預金残高 507
フリーキャッシュフロー 2585.38
フリーキャッシュフローの伸び 39.45
フリーキャッシュフロー利回り 4.2

株式の発行が財務CFの多くを占めています。

マイナスであるということは、おそらくは自社株買いですね。

2022年度はアメリFRBによる金利上昇で多くの株が下落した中で、同社株がそれほど下落しなかったのは、この自社株買いが株価を支えていたのかもしれません。

 

2023年になって日本ではようやく海外旅行が解禁となりました。

そして日本のインバウンドが再び活況を呈してきています。

外国人旅行者で気になったことがあります。

コロナ前、街中で目についたのは中国人や韓国人などの東アジアからの旅行者でしたが、最近は欧米系の人、そしてインド人などの南アジア系、ベトナム人インドネシア人などの東南アジア系の旅行者を多く見かけるようになりました。

円安で訪日旅行が安いことが主因であると思いますが、同時にそういった国々の人たちが以前よりも豊かになったからだと思います。

そうなると、マリオット・インターナショナル社は莫大な収益を上げる絶好の機会になると思います。

これからも同社は目が離せません。